もう仕事は頑張らないし趣味も頑張らない
俺は何も頑張らない
全てがもうどうでもいい
仕事を増やそうだとか今より稼ごうだとか誰かに認められようとか褒められようとかそんなの全部クソ喰らえだ
だってそれ無意味だから
本当の意味で何のメリットもない
ただただ疲れるだけ
楽しくもないし稼げもしない
何の意味もない苦行でしかない
頑張った奴からバタバタと倒れていき仕事を辞めていく
これは実際の話だ
これが現実なんだ
「だから俺はこんな仕事頑張るなよ、意味ないからって言ったのに」
そう虚空に向かい1人静かに呟く
頑張ったって稼げないのになぜ頑張るのか
稼いだって使わないのになぜ稼ぐのか
その矛盾を回答出来ないから身体と精神にガタがきて辞めていくんだろ続けられないんだろ
俺はそれを馬鹿って言うんだと思うよ
今もう既に必要なものは揃っているのになぜ必要以上に羽ばたくのか
鳥がバタバタと羽をバタつかせても
魚がビチビチと身体をくねらせても
それは自身を苦しめてるだけの自傷行為にしかならないんじゃないのか
ヘタクソか
分かれよいい加減
何が必要で何をすべきかくらい分かるようになれって
だから俺より何周も遅れてんだよお前らは
意味もなく働いて意味もなく稼いで
意味のない趣味をして意味のない日々を送って
意味のない人生を歩んで意味のない人生を終える
すまん、何がしたいんだ？
俺は率直にそう思う
俺は何もない状態からこの東京に出た
知り合いもいない、若さも学歴も資格も技能も社会経験もほぼない20代の半ば
ニート生活の長かったゲームが好きなだけの男が田舎から東京に出たのだ
誰にも頼らず求人募集から今の職場に勤め
最初は全員から蔑まれ電話対応も満足に声の出せない状態から俺のキャリアは始まった
周りと衝突し人間関係など上手くいかずそれでも食いしばって働きまくり師匠と出会い技術を教わりそれを自分のモノにして格段に技術を習得した
それから6年が経った今、東京でもトップクラスの技術があるという自信がついた
もう技に関しては相当なレベルに達していた
その辺の医者や国家資格持ちすら俺の領域には到達できない
全てが俺よりも格下だった
そして同時に虚しかった
クリアしたゲームのエンディングを眺めている気分だった
勿論未だに会得出来ていないことも部分的にあるがそれが出来たところで大したメリットが無い
もうほぼほぼ俺は完成していた
ステータスで現すならば4AAACAのショートセカンド外野手と言ったところだろうか
つまり最強だ
完璧過ぎるほどに完璧だ
これが俺の目指した領域
トリプルスリーを狙える万能型
本当に美しい
他の奴らはどうにもならない
無理すんなよとわざわざ俺が声を掛けてるのに無理してパンクするのを繰り返す
馬鹿じゃないのかと思う
実際馬鹿なんだろうけど
金じゃねえでしょ
金が欲しいならこんなとこで働かずトラックの運ちゃんにでもなった方がいいよ
或いは独立するなりさ
頭を使いなよ
いや頭を使うまでもないことだよ
普通に考えなよ
そして普通に生きなよ
背伸びせずに身の丈にあった生き方しなよ
1日数時間しか職場で働かない俺を冷めた目で見る新人のおっさん
俺の4倍は長く働いてるのに俺の倍も稼げないのをどう思ってるんだろう
表情が強張ったまま帰って行ったけど
ありゃもう来ないかな
お疲れさん、臭かったしもう来なくていいぞ
俺とあんたじゃ実力が違うんだ
申し訳ないがレベルが違う
俺はもう裏ボスを倒せるレベルであんたはまだスライムを延々倒してるレベル
見えてる世界が違う
俺は客に愛想なんて振り撒かない
俺についてこれる奴しか俺は必要がない
それはもう当たり前なんだ
俺は奴隷じゃないからだ
俺は自由
自由な闘将だからだ
自由な猿で自由なナマケモノ
自由な孤高で自由そのものだ
だから
俺は自由になる
自由の無敵だ
誰も俺を止められねえ
