味覚が変わった

私は子供の頃から果物が好きじゃない

みかんとか梨とかりんごとか果物単体で食べることはできる

だがそれがスイーツなどに混じると途端にダメになる

苺のショートケーキで中間の断面に挟まれたホイップクリームの中にはカットされた苺が混ざってると吐き気がした

 

それくらい私はフルーツと甘い物の組み合わせがダメだった

アップルパイとかね

 

多分これはおそらく給食の影響もあると思う

給食に出てくるパインパンとかレーズンパンがすげえ嫌いでどうしようもなかった

結局、学校教育とは滅茶苦茶がまかり通っていて理不尽を押しつけるだけの腐った機関というのがよくわかる

私は人生において学校なんて必要ないと断言する

 

話が逸れたがその影響で私は果物そのものが苦手となり果物単体で買うこともなくジャムなども当然買わない

まぁ要するに最近まで甘いものはカスタードとホイップクリームとチョコレート以外要らないと思っていたお子様の舌だったのだ

酸っぱさを拒絶する味覚

それが最近平気になりジャムパンやアップルパイを食べられるようになった

それはなぜかというのが今回の話

 

結論から言うと「老い」が答えだ

私は老いにより花粉症の症状も弱まり味覚も鈍くなったおかげで酸っぱさがそれほど気にならなくなったのだ

 

これはつまりもう私はカスタードやチョコレートやホイップクリームを真に美味しく食べられなくなったとも言える

もちろん今でも美味しく食べようと思えば食べられる

だがそれは若い頃の自分とは違った味わいで決してそれは一致などしない

感性が研ぎ澄まされていた若い頃の味わいと老いて鈍くなった人間の味わう感情は決して同じにはならない

そんなに美味くないなと思いながら食う甘いものなどただの不健康なだけの食品でしかない

 

私は老いた、そして衰えた

私はいつか死ぬんだな

そうハッキリと思えた

やっぱりつくづく人生なんて20代までだなと思う

それまでにどれだけ楽しい思いが出来るかが全てだと思う

何故なら老いだ後は楽しいことは楽しくなくなり苦しいことも苦しくなくなる砂を噛むような何もない虚無でしかない

 

感情や感覚が敏感な若いうちにどれだけ楽しめるかが人生の全てだなと思った

年老いたら人生なんて空っぽの虚無でしかない

 

昔はジャムパンなんて誰も食わないんだからこんなもの作るなよ置くなよと本気で思っていた

なのに今はジャムパンを買う為に仕事終わりに店を5軒もハシゴして結局売り切れてて買えない惨めな思いにあった

ジャムパンを迫害し続けて結果現在ジャムパンが欲しくなった時にはほとんど売られなくなった

多分年寄りを迫害し続けて結果自分が年寄りになった頃には私は滅茶苦茶不便で苦しむのだろう

その頃にはほとんどなくなった嫌いな図書館に入り浸ってるかもな

 

だがまぁ老いてよかった

これで死ねる

俺はいつか死ぬ

何も得ずともこれで死ねる

何も欲しくなければ現世に未練などありようがない

この世は全てが灰色だと思いながら死ぬことは随分と潔い

全ては虚無で無意味

明日はジャムパンを買う

どうかクソまずくあってくれと願いながらジャムパンを食う

そして普通に美味く食えて老いを実感する

生きることの虚しさを再確認する

そんな明日を送りたい