先日コミックシーモアにて3巻無料だったので読んでみた
さらに新規会員は1さっきの70%オフのクーポンがでていたのでそれも使用した
ザックリとしたあらすじ
三ツ谷誠という舞台俳優が28日間もの間一万円札で尻についたクソを拭くというシーンから始まる
それは全て役作りの為であり強盗犯で数億を手にした男は金に虚しさを感じていたという感情を理解する為の行いだった
そして無事三ツ谷は舞台を成功させ満足するのだが周囲の反応はひたすら自分を「2号」と声を掛けてくるのだった
実は三ツ谷には死んだ兄がいてその兄は天才俳優と周囲からも絶賛されるほどの才能があり生前から持て囃されていたが5年前にポックリと亡くなった
そして三ツ谷自身はその兄の七光りに見られるイメージを払拭すべくひたすらに芝居に没頭するのだが全く兄を超える評価をされることはなかった
実の母からも兄が死んだことによるショックから立ち直れていない為死んだ兄と自分が間違われるという極限のストレスの中でこんな世界にいたくないなどと思いながら三ツ谷は意識が朦朧としてしまう
気がつくと周囲は暗く一人暮らしのアパートに帰るも部屋の鍵が合わず中には若い女性が住んでいた
しかしここは間違いなく自分が住んでいる部屋のはずなのにと狼狽えてアパートのゴミ箱の前で座り込んでいると先程のアパートの部屋の女性に「あなたは何なんですか」と問われどうしたらいいか分からず泣きじゃくっていると女性はひとまず話を聞く為に三ツ谷を部屋へと入れるのだった
するとどうやら女性は兄のファンであることが部屋のグッズなどから発覚ししかもどうやら兄は生きていることがネットなどの情報や女性の口から発覚していく
間違いなく兄は5年前に死んだはずなのにどういうことかと詳しくネットで調べているとなんと自分が10年以上前に死んでいることが判明してしまう
ここは兄が生きていて自分は死んでいる世界線に兄が死んで自分は生きている世界線の自分が入り込んでしまったことが分かった
そして三ツ谷はここでなら兄の2号などと言われずに自分が俳優として成り上がることができると闘志と希望を燃やすのであった
あらすじ・終
とりあえず現行の最新刊である10巻まで読んだ雑感はとりあえず読者を引き込む為の力技を散りばめた3巻までは評価出来るもそれ以降は蛇足感が強くテーマがブレているというように感じた
・一万円札で尻を拭き読者を引き込む1話
・兄に対する劣等感を描写し続ける序盤
・そしてそこから脱却する為の舞台が用意された兄が生きている世界線へのワープ
・俳優として成り上がる為のサクセスストーリー
これらは何一つ無駄がなく完成されたテンプレートだと思うし読んでいて熱くなるし面白い
そこからも続々と理不尽な展開やライバルや魅力的な新キャラが盛り込まれるのだが
それ自体が私は蛇足のように感じた
まず新キャラが出ることでそいつに話が割かれるのがキツイ
更にそこからそいつの知り合いなどが登場し芋づる式にどうでもいい奴らが出てくるのがテンポを悪くしている
話を引き延ばす為なことは分かるが俺が読みたいのはそっちじゃないと言わざるを得ない
段々と当初の劣等感に苛む三ツ谷という主人公のイメージがどんどん薄くなっていき何の話なのかがボケていく
つまり魅力を徐々に感じ取れなくなってくる
孤独な天才の成功成長物語のようでそうでない展開に勿体なさを感じるのは私だけだろうか
勿論芝居や役者の話に優劣を明確につけることなど本来不可能で
そんなのは好みの問題でしかない話と言えば話なので白黒決着をつけること自体がチープなのだが
妙にそこの勝負の線引きを明確にしようと説得力を含む描写を割いているように感じる
要は長々と言い訳を見せられているような気分に陥った
ただそれ自体は作者の表現の凄まじい努力だと思うし見せ方のスゴい技術だと思う
けどまぁ見方的には茶番は茶番なので個人的にはそれらは一切刺さらないし蛇足に感じた
結局私が求めているものは単純明快さで細々とした芝居や演出などの技術論や人や群衆の心理などどうでもよく「凄み」だけで話を動かせばそれで十分以上じゃねと思わざるを得ないのだ
「結果論じゃん」に行き着くものに描写を割くのはただの無駄と言わざるをえない
10巻を終えた段階でまだ読者が見たい展開は描かれておらず一歩対宮田の勝負が延々と引き延ばされるようなことだけは避けて貰いたいと思うと同時に
「決着が描けないんだろうな」
とまだ10巻しか出ていないのに尚早ではあるが思った
こういう作品は本当に多く感じる
賭け狂いなんかもその典型でラスボス対決に至るまで散々雑魚戦を積み重ねる内に展開そのものに飽きてきて作品自体に興味を失うパターン
結局あれどうなったんだ?のまま続きを放置し知らないまま自分の中でブームが終息する感覚
ただこの作品で自分が面白いと思ったのはオタク女の行動や心理の描写が描かれておりこんな生き物なのかと少しだけどうでもいい知識を得られたので役に立つかは知らないが他の作品にはない、少なくとも男性作者が描くことはできないものを描いた作品ではあるので他者を知る教材的な見方をすればアリだとは個人的に思う
自分とは違う世界を知る数少ない方法で安価な方法なので浅く知る分にはこういう存在は有難いように感じた
総評
むしろ女性を知らない男ほど薦めるべき作品だと個人的には思う
知らない世界を知る教材的な漫画としてはうってつけではないかと
オススメ度は5段階中の5(特にモテなく冴えない男には)
女性や界隈に詳しい男には凡作でしかない3と言ったところだろうか