親の話

俺の親は俺の幸せなんてつゆほども願っていなかったと思う

いきなりなんだと思われるような冒頭だが言わせてくれ

それに関しちゃ別に何とも思ってないんだ

別に親から幸せを願われても鬱陶しいだけだし気持ち悪い

それとここで言う「俺の幸せを考える」とは口先から出る言葉でなく実際にやった行動のことを意味する

人間、口先だけなら何とでも言える

「あなたに感謝してます」だの「本当にありがとうざいました」なんてのはいくらでも言える

で、それが何になる?

別に俺はリアリストじゃない

ただただ単純にそれが何なのだと問うてるだけだ

 

 

振り返ってみて思う

俺の親は多分しんどい人生だったのだろう

多分苦労したんだと思う

それこそある意味じゃ俺以上にしょうもない人生を歩んでると思う

じゃあそんな人間が子供を産んだらどうするかって言うと

「ガキに何もかもを託す」んだよね

もうね、滅茶苦茶だったよ

長男の俺にさ、あれもこれもだよ

本当に滅茶苦茶のクソッタレだった

自分に学歴がねえからガキに中学受験させるわ何やら何まで全部詰め込んだ

12歳の俺に家のローンの支払いがキツイキツイと一生愚痴る

おかげで俺は小遣いをろくに貰えなかったし使えなかったよ

ガキの頃は泣きそうなくらい金がなかった

自分に関することでとにかく金が使えなかった

いや、貧乏人は皆そうかもしれねえが俺は塾や習い事を詰め込まれまくってる状況だぜ

その金を小遣いに回すことなんざいくらでもできただろう

だが俺の母親はそうしなかった

全てを学習塾や習い事にぶっこんだ

テメエの学歴が無いのを俺に託すために

もうね、滅茶苦茶なんだよ本当に

12歳のガキから自由を奪って何もかもを押し付ける

案の定俺は壊れたよ

中3から不登校になり高校は1年で中退

そっからは引き籠り21で就職して1年半で辞めそっからまた引き籠り25で上京して今に至る

21の時の時点で実家のローンが2000万残っていたから働いた金を全部家に入れた

大体200万だったかな

もっと入れてるかもしれない、もはや全く覚えてない

要は俺はそういう金に興味のない人間になっちまった

金のくだらなさ、ローンの愚かさ、コンプレックスがもたらす虚しさ

全部ひっくるめて人類が持つ業の深さが見える

人間ってのはどこまでもくだらない

正確に言えば俺の親はくだらない人間だった、それだけ

おかげで分かったことも色々ある

勉強のくだらなさ、仕事のくだらなさ、家族のくだらなさ、そして人間のくだらなさ

こうして完全な人間嫌いのニヒリストが出来上がった

自分のしたいこと、興味のあること以外はゴミだとしか思えなくなる極端な視野狭窄に陥っている

俺はもう自分のやりたいようにしかやらない、いやできない

普通の感性の人間なら俺の人生を歩めば自殺するだろう

だが人間の防衛本能で自殺をしないために「感性」を歪めるのだ

そうまでして人間は自身を生きさせようとする

そうして出来上がったのが今の俺だ

この社会において俺の存在は害悪以外の何者でもないと思う

夢や希望を持たず我が道しか歩かずそれ以外を無価値と宣う異常者が俺なのだから

そんな異物に居座られたらたまったものじゃないだろう

俺という変人、キチガイはまともに育った人間にとって毒物でしかない

この世の全てを憎み恨み社会への憎悪の炎を燃え滾らせている悪でしかない

かと言って犯罪を犯す訳でもなくただそこに在るだけ

邪魔者以外の何者でもない異常な偏屈爺

口からは呪詛めいた暴言しか出ず聞く者見る者を不快にさせるだけのバイキンマン

俺はね、許さんよ

全てを許さない

俺は俺以外の思想全てを排除する